コネクタの誘電体の材質によって、SWRは変わります。
誘電体とは、絶縁体とも呼ばれます。
誘電体とは、同軸ケーブルにも存在しています。
同軸ケーブルの、芯線と編組線の間にあるものです。
コネクタの誘電体は、芯線コンタクトの部材と、シェルの部材との間のあるものです。
誘電体は、芯線を固定している部材とも言えます。
誘電体が無いと、芯線が宙に浮いてしまいますので。
無線の世界では、インピーダンス整合という言葉が聞かれますが、
アマチュア無線の世界では、インピーダンスは50Ω(オーム)に揃えることとなっています。
コネクタのインピーダンスは、芯線とシェルの寸法関係と、誘電体の材質で決まります。
M型コネクタの場合、寸法の制約が厳しく、50Ωにしようとすると、誘電体は無しにするのが望まれますが、
無しにしてしまうと、芯線コンタクトが固定できません。
ですので、無しに近い部材ということで、様々な材質が採用されてきました。
M型コネクタは、その用途が、HF/50MHz帯が主でした。
HF/50MHz帯では、コネクタのSWRは、誘電体の材質に関わらず、無視しうる程度です。
ですので、安価であることと、強度があることから、ベークライトが古くから採用されてきました。
ベークライトは、フェノール樹脂とも言われます。
色は、茶色のものが多いですが、赤褐色のものや黒に近い物もあります。
M型コネクタのSWRは、周波数に依存します。
周波数の値が増えるに従って、SWRの値も増加します。
VHF/UHF帯では、SWRの値も大きくなり、無視できなくなってきます。
そうなると、誘電体の材質の影響が大きくなってきます。
VHF/UHF帯では、M型コネクタの誘電体の材質は、テフロンが優位になります。
どの程度、違うのかを実測した結果を下図に示します。
このグラフは、国内で入手できるM型コネクタを幾つか実測した結果です。
誘電体がテフロンの物は、どれも差異が僅かですが、
誘電体がベーク(ベークライト)の物は、縦軸方向の高さで約2倍程度と見なせます。
参考までに、N型コネクタの物も載せています。
N型は、周波数に関わらず、ほぼ1と見なせます。
数GHz程度までは、ほぼ1と見なせます。
それ以上になると、製造メーカーや価格帯により変わってきます。
アマチュア無線の世界では、N型コネクタのSWRは1と言っても良いと思います。